2002年 6月19日、福岡ドームと韓国の釜山(プサン)の 2つの会場で、ロボットの技術展示会、ロボカップ2002 福岡・釜山が開催された。
ロボカップは1997年の名古屋から始まり、毎年世界各国を まわって開催されている。サッカーワールドカップが 開催される年は、その開催国と同じ国で行われる。 そして、約50年後の2050年には、人間のワールドカップ チャンピオンに勝つというとてつもない目標を掲げている。 チェスで人間の頭脳に挑戦して勝利したことに続き、 身のこなしでも人間に勝利しようというのだ。
ロボカップでは、様々な競技が行われるが、ロボット同士の サッカーもやはり行われる。 これまでは、タイヤ走行や 4足歩行のロボットが競い合っていたが、今年から2足歩行の ロボットが競い合うカテゴリが追加された。しかも、 200チームも参加したという大盛況ぶりだ。あまりの盛況ぶりの ためか、片足立ちができることが参加条件となっている。
ただ、いきなりサッカーを対決させても現在の技術では 試合にならないのは明らかなので、往復歩行、ペナルティー キック、フリースタイルという競技項目に分かれている。 単に試合を楽しむのではなく、技術的な検討が行われることが 目的だからだ。
この競技には、ホンダの ASIMO も参加している。ASIMO も 進化していて、アイーン・ポーズ((C) Ken Shimura)を とったり、肩を押してもバランスをとり続けることが できるようになっていた。
コンピュータの能力が上がって、姿勢制御が高度になり、 2足歩行ができるようになったが、姿勢制御だけがロボットの 実力ではない。 スムーズに間接を動かすための仕組みや、 指を細かく動かすための駆動装置や、軽くて丈夫で柔軟な 骨格を作るための素材などを開発していかなければ、 ロボットの進化はない。コストも下げなければ、 多くの人の助けにはならないだろう。
ロボットといえば、完全な人型を思い浮かべるが、 体の一部だけでも、それが不自由な人にとっては助けになる。 人型でなくても、地雷除去など危険な仕事をさせることも できる。専門的なロボットであれば、すでに工場で働いている。 このように、現在の技術で十分実現可能なロボットもあるが、 パソコンのようにいろんなことができる便利なパートナーと なるには、汎用的でなければならない。 そうなると、 人型になっていくのではないだろうか。
2002年 6月13日、NTTアドバンステクノロジは、マウスを使って 動かすことができる動画編集ソフト「DRAGRI」の発売を開始した。
DRAGRIは、カメラなどで撮影した動画にドラッグポイントを 設定することで、動画にインタラクティブ性を持たせる。 たとえば、引き出しを開ける動画を用意して、マウスの動きに 合わせて開けたり閉じたりするコンテンツを作成することができる。 DRAGRIのホームページで体験できるので、試してほしい。 作成したコンテンツは、Java Applet として配布できる。
技術的には、それほど難しいものではない。マウスのある位置と 動画の時刻の対応をとっているだけだ。 DRAGRIは、その 対応付けを手助けする。
DRAGRIは、これまでにない低コストでインタラクティブ性を 持ったコンテンツを作成することができる。 わざわざ、 アニメーションにするために何枚もの絵を作成したり、本物と 違いが無いように、三次元画像編集ソフトと格闘する必要も無い。 カメラで本物を撮って、ドラッグポイントを付けるだけだ。 もちろん、物体の裏を見たりすることができないなど、自由度は 低いかもしれないが、逆にユーザにしてほしい動作だけをさせたり、 ユーザに面白い部分だけを見せたりすることができる。
DRAGRIは、ダウンロード販売のみで、Lite版が4980円、標準版が 14800円となっており、趣味でホームページを作成している人でも 十分に買うことができる。
マイクロソフトは、DirectX 9.0 のベータ版をベータテスター向けに 提供を開始した。新しく、シェーダー言語 high-level shader language(HLSL) が追加され、より表現豊かな表現ができるように なるだけでなく、デバッグも容易になるという。
グラフィックスは、高速化のため、ハードウェアによって レンダリングされる(効果的に塗りつぶされる)ことが多いが、 逆にこれが開発を難しくしている。 なぜなら、レンダリングが 期待通りに行かなかったときに、途中で止めて確認することが できないからだ。
HLSL では、ソフトェアによるリファレンス・ラスタライザ (ハードウェアと同じ機能を持ったソフトウェア)を用意して いるため、1ステップごとに実行して確認することができる。
HLSL が生まれた背景には、2大グラフィック・チップメーカーの ATI と NVIDIA から別々に提案されている、プログラマブル・ シェーダーの仕様の違いがある。また、プログラマブル・シェーダー は、アセンブラ(機械語)レベルのものであり、開発が難しいことも ある。
HLSL の言語仕様は C言語に似たようなものになるという。 おそらく変数や関数が使えるのだろうが、具体的にどのような ものであるかは不明だ。 インターネットで検索して見つけた 以下のホームページでは、次のように書かれている。参考になる だろうが、HLSL ではないので注意。
Advanced rendering techniques
http://www.cs.sunysb.edu/~ash/classes/CSE393/notes8.ppt
(キャッシュ)
A simple shader Surface metal (float Ka = 1, Ks = 1; float roughness = .1;) { normal Nf = faceforward (normalize(N),I); vector V = -normalize(I); Ci = Cs * (Ka*ambient() + Ks*specular(Nf,V,roughness)); Oi = Os; Ci *= Oi; } Simple shader using raytracing color MaterialShinyMetal (normal Nf; color basecolor; float Ka, Kd, Ks, roughness, Kr, blur; uniform float twosided; DECLARE_ENVPARAMS;) { extern point P; extern vector I; extern normal N; float kr = Kr; if (twosided == 0 && N.I > 0) kr = 0; vector IN = normalize(I), V = -IN; vector R = reflect (IN, Nf); return basecolor * (Ka*ambient() + Kd*diffuse(Nf) + Ks*specular(Nf,V,roughness) + SampleEnvironment (P, R, kr, blur, ENVPARAMS)); } |
2002年 5月23日、プログラムの開発をするときに使うデバッガに セキュリティ上の問題点があることを発表した。
問題点は、デバッガをインストールしてあるパソコン(サーバ)に ネットワーク経由でログインする(パソコンを操作することが できるようにする)と、たとえ、その権限が非常に限られたものに 設定してあっても、強力な権限を取得することができ、そのパソコンの データをすべて消去したりすることができるようになることだ。
ただ、この脆弱性を利用したウィルスは、まだ作られていないため、 一般のユーザが被害にあうことはない。
マイクロソフト製品は、様々なウィルスから狙われており、 今年始めに、ビルゲイツ氏が社員向けに、セキュリティの強化を 第一に考えることを唱えている。 それ以前から、Microsoft TechNet で、セキュリティの情報を提供し続けている。
プログラムがおかしな動作をすることを見つけることは簡単だが、 セキュリティ上の問題があることを見つけることは非常に難しい。 TechNet で対応策の一覧を見ると、自分の開発したプログラムに 新たな問題点が見つかるかもしれない。