2002年 8月22日、Borland Japan は、マルチプラットフォームに 対応した新開発ツールを発表した。 それは、Windows と.NET Framework に対応したpascal言語の開発環境「Borland Delphi 7 Studio 日本語版」 と、Windows と Linux に対応した C/C++,pascal 言語の開発環境 「Kylix 3 日本語版」だ。 発売日は、9月26日。
ボーランド社はマイクロソフト社と開発環境で長い間ライバル関係 にある。 マイクロソフトは、.NET 構想を打ち出し、どんな プラットフォーム(OS や機器など)の上でも、同じ1つの実行 ファイルが動作するなど、プラットフォームの壁を無くす技術を 提供し始めている。第1弾が、Visual Stuidio .NET だった。
これに対抗したボーランドは、異なる方法でプラットフォームの 壁を無くそうとしている。 CLX と呼ばれるコンポーネント技術を 使えば、1つのソースファイルから Windows 用の実行ファイルと Linux 用の実行ファイルの両方を生成することができる。 それぞれの実行ファイルは、特定のプラットフォーム専用になるが、 Java や CLR のような中間言語ではないので、自分が作成した プログラムは、高速に動作する。 なお、MFC で作成された ソースから、Linux の実行ファイルができる機能は、次バージョン 以降で対応することになっている。
Delphi は、これまで Kylix で Linux にも対応していたが、 新しく .NET のWebサービスにも一部対応した。 CILコンパイラの プレビュー版も同梱される。
問題は、一部しか対応していないことであろう。また新バージョン なので、細かい問題が出てくる可能性がある。 また、C++は、MFC に対応していないので、マイクロソフト製品を使う開発者がボー ランド製品を使うようになることは少ないだろう。 技術的には、 C# を勉強するか、CLX を勉強するかの違いなのだが、開発環境の 使いやすさも判断基準になるだろう。 買う前に、オープン・ エディションを使ってみることをオススメする。
2002年 8月5日、e-Japan戦略の一環として、各自治体は、住民基本台帳 ネットワーク(住基ネット)のシステムの稼動を開始した。
住基ネットは、国民一人一人全員に11桁の住民票コードを配布し、名前、 住所、本籍、性別、続柄、生年月日、住民となった日、国民健康保険な どの被保険者、変更履歴などを戸籍システムに記録し、正当な理由があ れば誰でも、名前、住所、性別、生年月日を写した住民票を取得すること ができる。 これは、これまでの住民票と変わらないが、この情報が インターネットを通じて各自治体で共有されることになる。 これにより、 どの自治体でも住民票が取得できることになるが、本籍の入った住民票 は取得できないため、効果よりも危険性が大きくなる。
なお、このシステムによって知った秘密を漏らした場合、1年以下の 懲役もしくは30万円以下の罰金となる。
問題は、もちろんネットワークをハッキングして情報が漏れる可能性が 増えることである。セキュリティー・ホールは、毎日のように報告されて いる。ネットワークのプロでなくても電話番号と同じ11桁では、簡単に 覚えられるし、大量処理しやすいし、ランダムでも有効な番号にヒット してしまうことである。
しかし、それも小さな問題だ。 大きな問題は、正当な理由を作れば、 簡単に本人の住所が日本のどこにあるか分かってしまうために、常に、 国や訳の分からない人に、監視された状態になってしまうということ である。 名前だけでは同じ名前の人もいるので問題ないが、いくつか の情報により取得した、本人を特定できる住民票コードによって、 過去の自分と現在の自分を簡単に関連付けられてしまうため、プライ バシーを侵害するような悪意のある行為が簡単にできてしまうのである。 たとえば、あるショッピングをしたときに、名前と住所を記入する ケースがあるが、そうして入手した情報を使って、半永久的に恐喝 される可能性が増える。もちろん、刑法に引っかかるのだが、警察の 目に触れる前に被害にあうものである。
現に、アメリカ、ドイツ、韓国、台湾、ハンガリー、オーストラリア、 ニュージーランド、イギリス、アイスランド、フィリピンでは 否決または断念されている。ご存知のとおり、日本のいくつかの 市町村では参加を見送っている。 施行された市町村では、配布ミス などにより一部情報が漏れている。
11桁の番号を、ワン切りなどの業者が悪用することは目に見えていると 思われるだろう。 しかし、住民票コードは本人以外(家族には漏れるが) に渡ることは無い。 なぜなら、住民票コードを民間が使用することは 法律で禁止されているためである。 たとえば、民間業者が「確認の ため、住民票コードを記入してください」とは言えないのである。 住民票コードは、住民票には記載されないため、ハッキングされたり、 本人が誤って漏らさない限り、国や市町村と本人以外は、知りえない 情報なのである。 それに、たとえ漏れたとしても、市町村に申し出れば 変更することができる。 変更履歴はハッキングされない限り知りえない ので、住民票コードで永久的に悩まされることは無い。 本人と公務員と セキュリティシステムが完璧なら安全というわけだ。 完璧にするには、 本人の個人情報に関する注意と、厳重な刑法と、セキュリティシステム の保守が必要だ。
なお、市民選択制にした横浜市は、一度住民票コードの書かれた 文書を送り、個人情報の送信を希望しない人は、来月中に区役所で 手続きをとることになっている。 筆者は横浜市在住なので選択できる のだが、引越しするとき以外にメリットが少ないため、送信しないように 希望する予定である。デメリットが見えてきたら送信を希望しようと思う。 その結果が公表されるか不明だが、一種の国民投票であろう。
(ちなみに、横浜市在住とここで公開していることが問題と思われる かも知れないが、それ以上の情報を公開しなければ、引っ越せば回避 できるので、それほど問題ではない。 識別性のある住民票コードが ばら撒かれたら問題だ。)
今週から夏休みの方も多いと思います。しかし、今年もかなり 暑いため、クーラーの効いた部屋でインターネットで暇つぶし したり、インターネットに飽きたら、パソコンのファイルの 整理をしたりしている人もいるでしょう。 そこで、ついでに、 優れたアプリケーションをインストールして、あなたのパソコンを パワーアップしましょう。
なお、ここで紹介されているリンク先のホームページは、優れた ソフトウェアの開発者らしく、興味深い内容になっているので、 そちらもお楽しみください。
[アプリケーション・ランチャー部門]
◇ ペースター (シェアウェア)
http://homepage2.nifty.com/autumn-soft/
シフトキーをダブルクリックして、アプリケーションの起動や、 定型文の自動入力を行う常駐型ソフトです。 多くのアプリケーションランチャーは、マウスを使いますが、 このソフトは、キーボードを使います。そのため、マウスを 移動する必要が無く、マウスが使いにくいノートパソコンには特に 威力を発揮します。 ただ、これを使っても、マウスでクリックして 起動することをしなくなることはないので、両方を組み合わせると よいでしょう。 このソフトの最も優れた点は、シフトキーを2回押してから、 任意のアルファベットを1〜3回押して起動することです。 一般に Ctrl キー + 任意のキーで起動するタイプのソフトが ありますが、この場合、2つのキー同時に押さなければならないため、 少し指がつります。また、Ctrl+X などは標準的に予約されているため、 衝突を避けるために Ctrl + Alt +任意のキーという複雑な使い方に なってしまいます。ペースターは、押しやすいシフトキー2回と 任意のキーを順番に押していくため、かなり使いやすいです。 デフォルトでは、カテゴリごとに分類されたメニューになって いますが、私は、略語2文字で起動できるようにしています。 たとえば、ブラウザの起動は Shift*2 + I + E としています。 メニューを見て探したり、意味不明な2文字を覚えるより はるかに使いやすくなります。 もう1つ重要な機能があるのですが、クリップボードの履歴を 自動的に保存してくれ、Ctrl キーを2回押すことで簡単に 呼び出すことができます。 これにより、複数のデータを クリップボードへどんどん詰め込んでペタペタ貼り付ける ことができるので、アプリケーションをパタパタ切り替える 必要はありません。 また、誤って2つコピーしたときに 前のデータが消えてしまうことも防いでくれます。
[パーソナル部門1]
◇ Kakeibo (フリーウェア)
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1429/
個人向け家計簿です。 シンプルで操作性が良いのが特徴です。 家計簿はシェアウェアが多く、複雑な画面構成になっている ものが多いのですが、フリーでわかりやすいソフトです。 現金と預金を分けて管理できるのも非常に的を得ていて、 便利に使っています。 年間一覧ボタンを押すだけで、 項目別の集計がすぐに表示されるのも便利です。 アプリケーション・ランチャーに登録しておくと、ついつい 家計簿をつけたくなるようなソフトです。
[パーソナル部門2]
◇ 卓上カレンダー (フリーウェア)
http://www.vector.co.jp/soft/win95/personal/se059040.html
予定表を書き込むソフトです。 アラームなどの機能はいっさい 省いて、できるだけ紙のカレンダーに近い操作性を保っています。 そのため、さっと予定を確認したり、さっと予定を入力したり することができます。 .sdl ファイルによってデータを保存しているので、複数の予定を 管理することも可能ですが、1つで充分なことが多いので、 .sdl ファイルを1つ作り、そのファイルをアプリケーション・ ランチャーから開くようにしておくと便利です。
[画像部門1]
◇ ACDSee (シェアウェア)
http://www.panda.co.jp/acd/
定番の画像閲覧ソフトです。 現在表示している画像の次の画像を 先読みして読み込んでいるので、次の画像への切り替えが 非常に高速にできます。 画像の表示だけでなく、非常に多くの 画像形式に変換することができます。 付属の画像処理ソフト FotoCanvas Lite が強力です。減色や コントラスト調整、サイズ変更などができるのはもちろんですが、 自動コントラスト調整ができるのが強力です。スキャナや デジカメで撮った画像を簡単に美しくすることができます。
[画像部門2]
◇ BTJ32 (フリーウェア)
http://homepage1.nifty.com/beny/
ビットマップと JPEG と PNG の相互変換をするツール。 ホームページに必要となる画像形式を一通りサポートしています。
[画像部門3]
◇ Animation GIF Maker (フリーウェア)
http://www.hornet-works.com/hattoriworld/
アニメーション画像をフリーで作成するソフト。 タイミングを詳細にかつ簡単に設定することができます。 ただし、GIF特許回避のために、GIF画像の表示や GIF変換 機能が搭載していないため、別のツールで GIF画像を作成し、 ブラウザで確認する必要があります。
[ユーティリティ部門1]
◇ 窓風鈴 (フリーウェア)
http://www.wnd.2y.net/
パソコンに風鈴をつけるソフトです。 Direct Sound を使っているため、とてもいい音で CPU の 負荷も小さいです。 四季それぞれのバージョンがあり、 いろいろ楽しむことができます。
[ユーティリティ部門2]
◇ 電卓君参拾弐号 (フリーウェア)
http://www.vector.co.jp/authors/VA000092/
+や×などのキーを押して計算の途中結果が出るタイプの 電卓と異なり、数式と答えがそのまま表示されるタイプの 電卓ソフトです。 もちろん、足し算より掛け算が先に 計算できます。 このタイプでは珍しく、マウスによる 入力ができるのが便利です。 高度な関数を使ったり、変数や式を記録しておくことが できるのが特徴ですが、画面に一覧が表示されているために、 わかりやすさがアップしています。
[ユーティリティ部門3]
◇ キッチンタイマー (フリーウェア)
http://www.hi-ho.ne.jp/uchiyama/
ホンモノのキッチンタイマーのような見た目のカウントダウン タイマーです。 ただし、カウントゼロになったときの音が 短いので、「タイマー音 サンプル」でインターネットを検索して、 BEEP.wav を適当なメロディ音に変えたほうがいいでしょう。
[ユーティリティ部門4]
◇ PathClipper (フリーウェア)
http://hp.vector.co.jp/authors/VA020411/
エクスプローラの右クリック・メニューからファイルパスを クリップボードにコピーするソフト。ファイルを開くダイアログに ペーストすれば済むので、いちいちフォルダをたどっていくことを 無くします。
[ユーティリティ部門5]
◇ MIDown (フリーウェア) http://www04.u-page.so-net.ne.jp/xb3/wan/
数字で並んだファイルを一度にダウンロードするソフトです。 ダイレクトに URL を指定したときにアクセス拒否する ウェブサイトにも対応しています。
[開発ツール部門1]
◇ 構造化エディタ (フリーウェア)
http://club.pep.ne.jp/~momotan/
ソースファイルや HTML ファイルや XML ファイルなど テキスト形式のファイルを階層化することができるエディタ。
[開発ツール部門2]
◇ Stirling (フリーウェア)
http://www.vector.co.jp/soft/win95/util/se079072.html
巨大なファイルでも安定して使うことができるバイナリエディタ。 コピーペーストや2つのファイルの比較もできる。
以上のほかに、自作の圧縮解凍ソフト Archives Folderizer、
図解作成ソフト SVG Cats などもよろしくお願いします。
http://www.sage-p.com/arcf.htm
http://www.sage-p.com/svgcats.htm
2002年 7月30日、平成電電は、次のADSLとして期待されている 12Mサービス(従来の1.5倍のスピード)を年1万5000円(月額 1250円)で提供することを発表した。モデムレンタル料は、 月700円。サービスの開始は9月から。
ADSLの最大接続スピードが8Mbpsから12Mbpsへ移りつつある。 各社、8Mbpsに比べて1〜2割程度高いプランを発表しているが、 平成電電は、さらに格安のプランを発表した。
12Mのサービスは、最大接続スピードが上がるだけでなく、 NTT局舎から遠いところでも十分なスピードが確保できる 可能性が高くなることでもある。10月末には 7kmまで サポートするという。当初は、10Mで接続するが、 ファームウェア(ソフトウェア)の入れ替えで 12Mまで サポートするという。
プロバイダ(メールアカウント、プロキシ)は当初平成電電が 無料で提供するが、それ以降は、別に契約する必要がある。 FREECOMという無料ISPが挙げられたが、どのページを見ても 広告バナーが表示されることになる。 よってプロバイダの値段によっては、あまりインパクトが 無くなるかもしれない。それでも YahooBB より安くしようと するだろう。
再び価格競争が行われそうなので、私たちの出費が抑えられ そうだ。公正な、いや過激な競争が行われているおかげで、 安くなってきているのだが、サービスの品質が落ちないか 心配である。一度接続が成功したら機械のことだから問題 ないだろうが、不具合があったら質の悪いサポートを 受けなければならないことになる。 月の出費を見ると、 家のローンや家賃に半分近く取られている。そちらも、 企業努力をして公正な競争が起こって欲しいものだが、 IT業界も少し談合的な価格調整を行わないと、いつまでも 市場が成長しないだろう。月に3000円以下ならば、談合に 近い状態でも文句は言われないだろう。従量制を復活しても いいと思う。現在、インターネットでは、多くの無料サービス があるが、多くは将来に有料化をにらんでいる。その サービス料が、接続料より大きいと入りにくくなると思われる。 これは業界全体の不況につながるだろう。