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2003/03/02

[人間協調・共存ロボットシステムの研究成果を発表]

2003年2月26日、独立法人・産業技術総合研究所は、経済産業省が 実施している「人間協調・共存ロボットシステムの研究開発 (HRP:Humanoid Robotics Project)」の最終成果を発表した。 なお、このプロジェクトは、今年3月に完了となる。

ロボットの使用目的は、「対人サービス動作」、「留守宅管理作業」、 「人間との共同作業」、「建設機械の代行運転」、「プラントの保守・点検作業」 である。研究では、その実現可能性をさぐり、基盤を提供していくことであった。 そのハードウェア基盤が、ホンダの人型ロボットをベースとした HRP-1、 独自に改良していった HRP-2、ソフトウェア基盤が OpenHRP である。 HRP-2以降の仕様は公開され、改良していく予定になっている。

成果として発表されたロボットは、単に歩くだけでなく、建設機械の 代行運転に必要な手や腕のコントロール、でこぼこした地面での歩行、 転倒したときに自分や周りの被害が少なくなるような姿勢制御が 考慮されている。 転倒制御の実験では、きちんと尻餅をついて、 自力で起き上がる様子まで公開された。 雨の中では、専用のカッパを着るらしい。 これらの様子は、後記の URLから動画で見ることができる。

ロボットの動きは、思ったより複雑な動きにも対応しているようだ。 まだ、人間の動きには及ばないが、1つ1つの対応パターンを 積み重ねていくことで、最終的には走ったり反射的にもモノに つかまったりしていくだろう。 人工知能は、体験のデータベースが 無いために人間らしい考えができないことに行き詰っているが、 ロボットの成長に従って前進していくだろう。 今のところ、 論理的思考より、ロボットの周りにある障害物を認識することに 需要があるように思う。 多くのデモは、あらかじめ部屋の特徴や 巡回ルートを入力しておく必要があった。 カメラで障害物の 形状を認識したり、歩きながら道順を認識したりという、 頭の中で三次元モデルを形成する技術が、今後のロボット技術の 発展のキーになるだろう。 もちろん、そういったプロジェクトは 始まっている。

パソコンでのこういった認識の技術は、日本語変換から始まり、 手書き認識、音声認識などが昔からある。IT乗用車では、料金所や 車線を認識して運転を補助するものもある。 これらは、画像認識など 感覚系から得られるデータだけで100%の認識率を出すことは 不可能である。 日本語変換や文字認識では、センテンス、 つまり、時間的、空間的に総合して判断する必要がある。 しかし、それでも100%になるのは不可能だ。

ロボットに得意なこと不得意なことがあるように、人間も 人によって得意なこと不得意なことがある。 不得意なことに 挑戦するときはどうするだろう。 それは得意な人に聞くことである。 人間に得意なことに判断をゆだねることも賢い判断になる。 製品段階では、こういった支援要求機能をいかに少なくするか、 誤認識の修正をいかに効率的にできるかがキーとなるだろう。 研究所レベルでは体験できないことがある。 そのときに ロボットに情報を与えることが専門家にしかできないので あれば使い物にならない。

学習技術というと日本語変換の履歴データを参考にする、 録音した音声を単語登録するといった安っぽい響きがあるが、 丸暗記的な学習ではだめだ。 入力データのそれぞれの 構成要素がどういう意味を持つかといったことを体系化し、 学習することをしなければ、ロボット技術の発展はライバルに いずれ抜かれるだろう。 プログラムの分野でいえば、ケース ツールやソース・ジェネレータだ。 人間に入力や認識しやすい形で プログラムを入力、つまり学習させるシステムを作ったものが 性能のよいロボットを生み出すことになるだろう。

[動画へのリンク]。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/0227/hrp.htm


Keyword解説

『誤字訂正』

日本語変換において同音異義語をユーザに選択させること。 または、文字認識において、文字の形状が似ているために、 形状だけの認識では文字が特定できないとき、ユーザに 選択させること。

たとえば、1(数字), I(アルファベットのアイ), |(縦棒), l(アルファベットのエル), /(斜線)は、どれも同じ 縦一本になることがある。確かに、1 の上部に折れている部分や 下部に短い水平線があり、それらを入力するのは不便だ。 斜線は、枠に対して斜めの文字を書く癖があったり、斜めに 書いてしまう体勢になっていると、縦棒になってしまう。 このとき、候補をいかに簡単に指定できるかが、使いやすさ の決め手となる。

しかし、毎回ユーザに選択させるのでは、いくら選択が 簡単でも不便だ。 周りの文脈から判断することが考えられるが、 その限界が現れたとき、別の誤字訂正が必要になる。 Palm は誤字訂正の不便さの代わりに、特殊な筆記パターンを 用意したり、英字エリアと数字エリアを分けている。 こちらは、特殊な筆記パターンを覚える必要がある。 どちらがいいかは人や性能による。


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SVG Cats 1.2 は、次の新しい機能を追加します。
複数行文字列、グリッド、用紙サイズガイド、
大きなキャンバス、全体縮小表示、エラー時自動保存など

完成は、3月末の予定です。(なかなかバグが取れないー)
http://www.sage-p.com/svgcats.htm


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