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MSが心変わり? Palladiumのソースコードを一部公開へ「セキュリティ上の問題」を理由に、これまで頑なにソースコードを秘密にする方針を貫いてきたMicrosoft。だが、セキュリティ強化を打ち出すプロジェクト、“Palladium”では一転して「信頼を得るために」とのソースコードを一部公開する計画だ
長年ソースコードを秘密にする方針を採ってきたMicrosoftだが、同社は6月24日、セキュリティ強化プロジェクト「Palladium」(6月24日の記事参照)では、重要なコンポーネントのソースコード公開を計画していることを、明らかにした。 およそ数千行のソースコードで構成されるこのコンポーネントは、Palladiumプロジェクトのセキュリティ基盤として提案されているものであり、同社の“信頼できるコンピューティング”プラットフォームの要となるものだ。 MicrosoftのPalladiumプロジェクト担当グループプロダクトマネジャー、Mario Juarez氏は次のように話している。「われわれはソースコードを公開するつもりだ。人々にこのコンポーネントを信頼してもらう必要があるからだ。この小さなコードの中で起きていることを信じてもらうことこそが、重要なのだ」 Microsoftは24日にPalladiumプロジェクトを発表した。このプロジェクトは、ユーザーデータの保護を強化し、コンシューマ向けPCであっても企業が自社のデータをコントロールできるようにする新しいハードとソフトの設計を目指している。 しかし、同社はこの技術の普及促進の一環として、「セキュアな処理環境」と呼ばれるソフトコンポーネントのソースコードを公開する計画だ。 これまで、Microsoftはこのような重要なコードを公開すれば、セキュリティが侵害される恐れがあると主張していた。だがJuarez氏の考えは違う。「まったくそうは思わない。実際に、ソースコードの公開は、セキュリティの強化につながる。RSA暗号化アルゴリズムは当初から公開されていたため、今日も深い信頼を得ているのだ」(同氏)。 この見解は、「Windowsのソースコードを公開すれば、同OSのセキュリティが侵害される」と繰り返し主張してきたMicrosoftの姿勢を揺るがすものだ。同社はこの主張の下に、競合他社へのソースコードの一部(あるいは全部)の公開を求める独禁法訴訟の是正案と戦ってきた。 同社のWindows担当副社長、Jim Allchin氏は、独禁法訴訟の宣誓証言で、Windowsのソースコード公開を義務付ける是正措置が採用されれば、ハッカーやウイルス作者がますますセキュリティを破る力を付けることになるだろうと主張している(5月8日の記事参照)。 「ウイルス作者がWindowsのウイルス対策メカニズムの仕組みを知れば知るほど、ウイルスを作成したり、これらのメカニズムを無効にしたり破壊することが簡単になる」(Allchin氏の証言より)。 オープンソース主義の下で公開されているプログラムは、誰でもそのソースコードを閲覧することができる。非常に難解なバイナリコードとしてパッケージ化されているWindows XPとは違って、オープンソースプログラムは、コードをコピーしたり、改良を加えることが可能だ。ただし、改変が認められるのは、改変後のコードを公開する場合のみに限られる。 オープンソースソフトコミュニティとクローズドソース支持者は、長い間、自分たちの開発プロセスの方がセキュリティを向上させられると主張し合ってきた。しかし両者とも、これまでに大きなセキュリティ問題を経験している。MicrosoftのWebサーバソフトには簡単に悪用できるセキュリティホールがあり、1年ほど前にはCode Redワームまん延の原因となっている。一方Linuxやその他のUNIX系システムでは、ダウンロード提供するファイルのホスティングによく使われるサーバソフト「wu-FTP」で、深刻な脆弱性が発見されている(11月29日の記事参照)。この脆弱性により、多数のハッカーやいくつかのワームが、パッチをあてていないサーバに侵入できる状態になっていた。 最近の調査報告書では、オープンソースソフトとクローズドソースソフトのセキュリティは本質的に変わらないと述べられている。 MicrosoftのJuarez氏は、セキュアな処理環境のソースコードをオープンソースにするとは約束していないが、ソースコードを公開する計画があることは認めている。 オープンソースエバンジェリストで、オープンソースの定義を決めたBruce Perens氏は、Microsoftはこれまでの主張と矛盾することをしているようだとしている。 「Microsoftは、ソースコードを全世界に公開しても、必ずしもプログラムのセキュリティが侵害されるわけではないということを認めているのだと思う」と同氏。 関連記事 [Robert Lemos, ZDNet/USA] |
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