weekly news column back number


週刊 IT ニュース&コラム 2005/5/30
日本の民間サイト、価格.comが攻撃され停止に

2005年 5月11日、価格比較サイト「価格.com」は、不正アクセスを 受け、サイトが改ざんされたことがわかった。 最終的には、 改ざんされたサイトからウィルスがばら撒かれ、サイトが停止になり、 顧客のメールアドレスも流出した。

11日には、不正アクセスを認識しており、警察,IPA,セキュリティ 企業と協力して手動で修復を行ったが、14日には不正アクセスが 急増し、ついに閉鎖した。同日に修正して再開したが、不正 アクセスは収まらず、閉鎖となった。サーバの構成を改良して 24日にようやく再開した。

価格.com からばら撒かれたウィルスは、トレンドマイクロ製の ウィルス検出ソフトでは検出されなかったが、キヤノンシステム ソリューションズ製の NOD32 というウィルス検出ソフトでは 検出できた。 このため、NOD32 の体験版のダウンロードが 急激に伸びた。推測だが、不正アクセスを試みたハッカーは、 大手のトレンドマイクロ製で検出されないことを確認した上で アタックしたのだろう。

犯人は一人の愉快犯ではないらしい。アタックの頻度や攻撃の レベルの高さから、グループによる犯行と推測している。 海外からの攻撃の可能性もあるという。

その後、多くの検出ソフトは対応したが、サイトを閉鎖した 2日後でも、対応できたソフトは 16本中たったの3本だった。 理由は分からないが、多くはアメリカ製なので、日本で 発生したものは対応が遅いのかも知れない。 とはいえ、 アメリカ製のウィルスが圧倒的に多いことを考えると、 純日本製はまだ不安かもしれない。

政府系のサイトが攻撃されることは有名だが、そのアタッカー となっているのは、セキュリティ・レベルが低いサーバだ。 不正アクセスによって静かに感染したサーバが、特定の サーバに対してある日突然一斉に攻撃を開始するのだ。 古いサーバや、個人で置いているサーバが狙われやすいらしい。 最近は、フィッシング詐欺が増えており、愉快犯より 犯罪グループが攻撃を行うことが多いようだ。そうなると、 Windows だけでなく Linux でも狙われるだろう。 Linux は嫌われていないから安心という時代ではなくなった と考えた方がいいだろう。 自分が狙われていることを 自覚した方がいい。

[参考リンク]
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0505/23/news049.html


週刊 IT ニュース&コラム 2005/4/25
PDFのアドビがFlashのマクロメディアを買収

2005年 4月18日、アドビはマクロメディアを約34億で買収した。

アドビ(Adobe)といえば PDF、マクロメディアといえば Flash だ。 公式文書として標準となっている PDF と、インターネット広告の 標準となっている Flash なのだが、合併によってどんな効果が あるのか考えてみよう。

ぱっと思いつくのが、PDFとFlashを統合して、より強い標準を 作り出すことだろう。 しかし、私はフォーマットが統合されるとは 思えないし、両方を同時に扱うツールも現れないだろうと思う。 もし統合されたすばらしいフォーマットができたとしよう。 しかし、そうしてできた新しいフォーマットに移ることは難しい のである。新しいフォーマットは既存の Adobe Reader や Flash プレイヤーでは見ることができないからだ。ちなみに、Flashに 対抗してできたのが SVG であるが、Adobe は、PDF と SVG の 統合には消極的であった。Adobe Reader に SVG Viewer をつける ことで SVG の普及は確実だったのに行わなかったのだ。

また、両社のソフトをよく使う方なら気づいているだろうが、 両社には競合するソフトウェアが多い。ホームページ作成ツールの DreamweaverとGoLive、画像編集ツールの PhotoshopとFireworks、 ベクトル画像編集ツールの IllustratorとFreeHand などがある。 ここまで競合すると、敵対的買収に近いだろう。経営者は切るだけ だが、ユーザや開発者にとっては、思い入れがあることだろう。 その懸念を予想して、買収に関する FAQ では、今後も計画通りに バージョンアップを行うと説明しているが、数年後はどうなるか わからない。

一方、このような巨大な買収となると、マイクロソフトとの関係も 気になるところだ。みんなも気づいているとおりマイクロソフトは 独占企業であるが、アドビも独占企業に近づいたことになる。 両社が競合する製品は比較的少なく、デザイナーならアドビ1社しか 選択肢がなくなってしまう。そうなるとマイクロソフトのように 不当な価格を設定する可能性を持ってくる。PDFもFlashも扱える 怪しい新製品がそうなりそうだ。

今後はAdobeブランドへ統一される。買収によりアドビとマクロ メディアが争ってきた特許に関する裁判がなくなり、経費削減 ができた、というつまらない買収なのかもしれない。

[参考リンク]
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000050156,20082901,00.htm


週刊 IT ニュース&コラム 2005/4/11
PSPで好きなプログラムを動かすハッカーが続出

IT media によると、ソニーの携帯ゲーム機「PSP」で早くもハッキングが行われた。 といってもデータを盗んだりすることではない。独自のプログラムを動かして 楽しんでいるのだ。こういったゲーム機などのハッキングはよく行われているが、 人気の機器であるせいか、他の機器に比べると非常に対応が早いらしい。

動かしているプログラムは、IRC とういチャットプログラムや、Tivoとよばれる DVDレコーダで撮った映像を見るプログラム、電子ブックのビューアなどがある らしい。

販売元のソニーは、それを認めていない。 なぜなら、ゲーム機はゲーム機として 利用されることを前提として作られており、それは、単にゲーム専用機になって いるだけでなく、ゲームメーカーからライセンス料をもらうことをふまえた 価格設定になっていたりするなど複雑な理由があると推測される。

しかし、ここではそういった議論はつまらないのでしないでおこう。 注目したい のは、Palm などの携帯機器があるにもかかわらず、なぜ PSP でプログラムを 動かそうとするかだ。

PSP の特徴として、まずきれいで大きな画面がある。 この画面でテレビ番組 などを見たいと思うのはよくわかるだろう。 現にソニーもそういった需要を 踏まえて、PSX という DVD レコーダで撮った映像を PSP で見えるようにする プログラムを公式に公開している。 しかし、PSX を買わなければ、今のところ PSP で映像を見ることはできない。 そこで、アメリカでかなり普及している Tivo で撮った映像も見ようということで、そういったプログラムが開発された。 自由の国、アメリカらしい。

チャットプログラムも、PSPの携帯性を生かしたプログラムだ。 キーボードが ないために入力はつらいかもしれないが、実用耐えられるような工夫をして いるのだろう。 ただ、入ることができるチャットルームが限られているらしい。 こういった制限があるのは、しょうがないだろう。開発者が楽しむために作った もので、別に他の人がどうであるか知ったことがないのである。

推測になるが、こういったツールは、Linux の上で動いていることが多い。 パソコンだけでなく家電にも組み込まれている Linux なら、どんな装置に だって移植することが簡単だろう。そして、Linux が動いてしまえば、 非常にたくさんの Linux アプリケーションが動いてしまうのだ。 (もちろん、対応していないデバイスがあったりして、すべてではないのだが) Linux には新規性がないと言われることがあるが、移植性の高さは優れた点だ。 おそらく、家電に Linux が採用されるのも、そういった理由によるだろう。 オフィス製品ではマイクロソフトが強いが、そうでなければ、Linux に移植 するのは有効なことだろう。

[参考リンク]
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0504/06/news004.html


週刊 IT ニュース&コラム 2005/3/28
PS3・Cell のマルチコア・プログラミング環境を発表

2005年 3月、ゲーム開発カンファレンス「GDC」で、Play Station 3 のプロセッサ Cell のプログラミング環境の説明があった。

PS2 では、開発をしやすくするためのソフトウェアのライブラリの 提供がなかったため、いくら優秀な技術者がいたとしても開発する のは非常に困難であった。 現在、アメリカで主流の XBOX は、 マイクロソフトの DirectX が提供されており、その DirectX は、 PC 版は無料で公開されているため、次の世代の開発者が育つ環境 まである。PS3 では、そのあたりを見直し、ライブラリの提供を 行うことにした。

まず、ゲームでは最も重要となる 3Dグラフィックス・ライブラリは、 CAD で標準となっている OpenGL を効率よくした OpenGL ES 2.0 を 採用すると見られている。 OpenGL は 10年以上こなれてきたもので、 OpenGL ES はここ数年で OpenGL のボトルネックを修正したものだ。 多くの業界が関係して仕様策定いるため、安心してゲームを開発 することができるだろう。ただ、ライブラリを開発したとしても、 バージョン1は、プロセッサの性能を十分には発揮していない ことが多い。そもそもライブラリを使用すると遅いというのが、 ゲーム業界の常識だ。 大手は他のゲームメーカーより性能で勝つ ために、独自のノウハウを構築してきた。 そのため、オープンに ライブラリを開発しようという提案をソニーが行っても乗ってこない だろう。 そのため、OpenGL ES ライブラリのバージョンが上がって 性能が上がるのは期待できないと思われる。 DirectX は、マイクロ ソフトが自社開発しているので、独自に性能を上げてくることを 考えると、PS3の状況的な不利は変わらないだろう。 しかし、 マイクロソフト1社体制でないところが逆に強みである。たとえば、 PSP や他のゲーム機に移植することが簡単になる可能性をもっている。 もちろん、OpenGL ES ライブラリが、そのゲーム機用に開発される ことが条件になるが。 ただ、CELL はグラフィックス・プロセッサではない。PS3 の グラフィックスは nVIDIA 製の GPU になると予想されているからだ。 プログラマブル・シェーダの言語「Cg言語」も PS3 に採用される。

個人的には、PS3 が登場してもグラフィックスの見た目だけで インパクトを与えることは難しいと考えている。すでに製品化 されている某ドライブシミュレータ・ゲームのように、重量感や 加速感など物理的なリアリティが新たな感動を与えるだろう。 そのためには、より精度の高い物理シミュレーション演算が必要と なり、PS3 の SPE(8つのベクトル演算ユニット)が活躍するだろう。 また、EYE TOY のような画像認識も大量の演算が必要になる。 こういった演算は、スーパーコンピュータのような超並列演算が 適している。 SPE は、DSP のようにアセンブラでプログラムすると 思われているが、C/C++ 言語のコンパイラが提供されるという。 基本的なライブラリの API も、PPE(メインCPU)と SPE で 共通に使えるという。まだ、どんな制限があるかわからないが、 おそらく普通のプロセッサのプログラミングと変わらないだろう。 性能を出すには、並列プログラミングに適した設計をしなければ ならないが、プログラムの記述に苦しむことはなさそうだ。

Cell は、Intel のマルチコアとはプログラムの設計も異なるだろう。 Cell は、メインとなる PPE が SPE をコントロールするという 主従関係が明確になっている。 Intel のマルチコアでは、おそらく OS が動的にスレッドとプロセッサの対応を自動的にしてくれる だろう。PC ではいろいろなプログラムが動くため、後者が適して いるが、PS3 や家電ではその必要がないため、性能を出しやすい 前者のほうが適しているだろう。 ただ、PS3 でも Self multi-tasking という SPE だけのスケジューリング機能があるため、単純に 比較できないかもしれない。 PS3 では、PPE が SPE の Job Queue 命令を発行する。 Job Queue の情報を元に、命令コードやデータを SPE に転送して、SPE が実行を行い、結果を PPE に戻すのだが、 これは、関数コールと同じイメージだ。 ただ、命令コードの 転送があるため、オーバーヘッドは高い。ある程度時間のかかる 処理を SPE に任せるとよいだろう。

PS3 の開発環境の方向性は間違っていないだろう。ただ、理論と 実践は異なる。 本当に性能がよく使いやすいかは、提供された ものを使ってみなければわからない。 そのためには、ゲームと ライブラリの両方に精通した技術者が必要であり、どれだけ PS3 の開発陣に組み込めているかだ。

[参考リンク]
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/0310/kaigai165.htm


週刊 IT ニュース&コラム 2005/3/14
ソニーのトップ交代、エレクトロニクスの復権を目指す

2005年 3月 7日、ソニーの出井会長は、会長自身と安藤社長を トップから退任し、新たに米国法人会長のハワード・ストリンガー 氏と、技術出身の中鉢氏の体制にすることを発表した。

ソニーのブランド力は非常に高く、挑戦的な技術を積極的に 採用してきたが、最近の業績は低迷してきている。 確かに、 他社製と比べて技術が高いと思わせるところはあるが、製品に 魅力が無くなってきているように思える。

私がソニーに持っているイメージは、技術は高いが、汎用性が無い ということがある。メモリースティックは、SDカードのように 多くのメーカーが対応している状況にはなっていない。メモリ スティックは、SDカードより大きいことが弱点と一時期言われて、 小型のメモリースティックDuoを開発したが、状況は変わって いない。 同じことがミュージック・プレイヤーにも言える。 音楽をプレイヤーに転送するには、ATRAC3 に変換してチェック アウトしなければならず、iPod のように簡単にはいかない。 著作権を意識させられたとき、ユーザは非常に不快を感じるものだ。 うまく、著作権保護技術を意識させないようなユーザインター フェイスを作れていれば評判がぜんぜん違ったと私は考える。

暗号化された音楽ファイルは自由にコピーできるようにし、 プレイヤーをPCと接続したら、フォルダと同じような見え方の ウィンドウを開き、そのウインドウにコピーする操作をしたら、 自動的に著作権管理サーバに著作権のチェックを行えば、 著作権を意識することは少なくなっただろう。 再生するPCを制限するなら、プレイヤーソフトをインストール したときに発行した GUID で PC を識別し、ある曲ファイルの ID を再生できる PC は1台だけ、1日経たないと別のPCに変更 できないという方式にし、その著作権チェックを、音楽ファイルを ダブルクリックしたときに自動的に行うようにすれば、 著作権を意識することは少なくなっただろう。 両者の方式は、著作権管理サーバに接続しなければならないので、 そのときの反応の遅さに著作権を意識してしまうが、PC間で 音楽ファイルを移動させるための特別な手続きが不要であるため、 ユーザが求めている所有永続性の要求を満たすことができる。

話がそれてしまったが、ソニーならそれぐらいのことはやって ほしい。 プレイヤーの見た目のセンスは非常にいいのだが、 技術的なセンスが感じられない。すごいけど馴染めないという 感じだ。

今回外国人をトップにしたのは、ソニーの売り上げの約8割が 海外であるためだという。そのストリンガー氏は、ソニーの中の コンテンツホルダーと、エレクトロニクスのコラボレーションを 進めていきたいようだ。今回私が考えた方式のように、 スマートな著作権管理ができ、他社にも展開できれば、 出井氏がもとめる、エレクトロニクスのソニーが復活するだろう。

[参考リンク]
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0503/09/news076.html


週刊 IT ニュース&コラム 2005/2/28
ブログの公私混同に注意。解雇された例も

2005年 2月22日、Clearswift社は、「社員によるブログの適正な 使用について明確な規則を定め、その施行に必要な技術を導入 すべきだ。」と発表した。

会社の自分の机からインターネットを見えるようになっている ところが多いと思う。 インターネットをうまく活用すれば、 効率よく情報収集ができるからだ。 しかし、電子メールや ブログを個人的な目的のために使っていることもある。 Clearswift社によると、業務時間中に1時間以上使っている 人が 40%にも上るという。

更に、「社員の生産性が低下するだけでなく、ブログに無責任 あるいは不適切な内容が記述されれば、社内の機密事項が 漏れたり、会社の評判が傷つけられる恐れがある」という。 多くの人は、ブログを始めようとしてもネタに困ると思う。 特に男性の場合は、仕事のネタしかない人が多く、仕事の 愚痴をつい書いてしまう人もいるだろう。 そこで具体的すぎて、 機密事項を書いてしまうとマズイ。 もちろん、そんなことは 気をつけているよ、と思うかもしれないが、本当だろうか。 まず、会社での作業は、ほぼ全てが機密事項であると 思っていい。企画を練ったり、根回ししたり研究したりする ことは、ライバルに勝つためだからだ。 それに、たとえ、 会社の評判を上げる書き込みであっても、書いている人の 会社が特定されると、その後の書き込みも全て気をつけなけ ればならず、続けていくことはリスクが高い。

Googleの社員だった Mark Jen氏や、Waterstone の社員だった Joe Gordon氏は、ブログによって会社の評判を落として 実際に解雇されている。実は私も1997年に入社したときに 早々に指摘された。会社の評判に関わる内容は無かったのだが、 本人の所属している会社を書いていることが問題だったのだ。 技術系の雑誌で、ペンネームを使っている人が多いのは、 副業を禁止している古い社則のためだが、ある一人に会社の イメージが左右されることを避けるためでもあるのだ。

[参考リンク]
http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/it/361313


週刊 IT ニュース&コラム 2005/2/14
PS3に搭載予定のプロセッサ CELLの詳細を発表。4GHzを超えた

2004年2月8日、IBM、ソニー(SCE)、東芝は、Play Station 3 (PS3) に搭載が予定されている、超高性能プロセッサ CELL の詳細を 発表した。

CELLは、PPEとよばれる 2スレッドが同時に動作可能な 64ビットの プロセッサだけでなく、Synergistic Processing Units(SPU)と よばれる8器の浮動小数演算ユニットを搭載している。

しかも、90nmルールで動作周波数が4GHzを超えたという。論文に よると、SPUは 5.6GHzの動作を確認済みだという。これは、現在の インテルの最速チップ3.8GHzよりもはるかに高い周波数だ。つまり、 インテルが限界と言っている最高の周波数を超えているのだ。 組み込み系では、MPEGデコーダのような DSPという半専用回路が あるが、その性能も超えている。これだけ高速になると、メモリ との転送能力もかなり要求される。100GB/sec になるという。

注目の消費電力は、公式には発表されなかったようだ。2GHzで 40Wなので、4GHzでは100Wはゆうに超えるだろう。

x86アーキテクチャではないのでパソコンにはならないだろうが、 Linuxや組み込み系OSに移植しているらしい。複数のOSが動作 することも可能らしい。DVDレコーダ PSX のように、PS3だけで なく家電に組み込まれていく予定だ。

PS3を発売する 2006年前半でも、間違いなく最速のプロセッサに なるだろう。インテルがパソコンでの地位を失うことがないからだ。 現在のパソコンは、テレビパソコンと言われている。DVD(BD) レコーダーの編集がさくさくできたり、インターネット機能 (ブラウザ、メール)と、メールを永久保存するためのストレージ 機能を充実させれば、パソコンに置き換わる可能性がある。 最近のテレビは、インターネットに接続できたり、データ放送を 楽しんだりできるが、本格的に使っている人はいるだろうか。 私が使おうと思わないのは、テレビにキーボードとマウスを つなげられないことと、メールデータの永久保存が保障されて いないからだ。新しいメールソフトやブラウザを使う感覚で、 テレビが使えるようになったと感じられるようになったとき、 Macの強敵になるかもしれない。それには、ソフトウェアの開発が カギとなるのは間違いない。

[参考リンク]
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0502/08/news021.html


週刊 IT ニュース&コラム 2005/1/31
PSP の不具合対策。ネットの過剰な騒ぎに社長は門前払いか

2004年12月12日に発売したゲーム機 PSP(PlayStation Portable)の 不具合に対する対応が悪いとネット上で騒ぎになっている。

掲示板や BLOG で騒ぎになっているものをそのまま信用することは 問題であるが、細かいところまで言えば 15もの問題があるそうだ。 その中でも、重大と思われる問題は主に2つある。 画面に近いボタンが押されたまま戻らないことがあることと、 UMD(ディスク)が勝手に開くことだ。(ネットではフライング ディスク問題となっているが飛ぶことはない)

ソニーが不具合として認めたものは、ボタンが戻らない点や、 電源が入っていても全く起動しなくなるなどの再現性のある問題だ。 その不具合に関しては、希望者に無償で修理を受け付けている。

しかし、その他の多くの問題は、再現性が低く、ボタンの誤操作の 可能性も考えられるので、修理を受け付けていない。

修理を希望するネットの住人に対応した誰かが、ソニーの不具合 対策パッチ(アップデートソフト)をどこからか入手して公開 した。公開した本人はユーザの希望にこたえて満足かもしれないが、 開発途中のものは不具合が取りきれていないことが多く、実際に パッチを適用すると、修理が必要になるほどの不具合が生じる。 一刻もパッチを公開したいのはメーカーの方なので、出し惜しみ していることはない。

ボタンの効きが悪い問題は、画面の大きくしたために、ボタンの 電気的接点がボタンの直下に無いことが原因の1つと考えられて いる。その問題については、どうしても画面を大きくしたかった のでボタンの位置を変えることはしない、仕様だ、と社長は語った。 確かに画面の大きさは PSP のアピールポイントである。ボタンの 配置も、操作的に最善であったのだろう。両方とも適切な対応策 にはならないだろう。 電気的接点の位置を技術的に解決する しかないだろう。それだけの開発期間が無かったか、技術が なかった結果と見るべきだろう。 技術的に解決するか、批判が 大きくなるまで、不具合を明確にしないのは、企業活動として 仕方ないことだろう。消費者も名より実を取るべきだ。今回の 場合は、ネット住人の多くが根拠を理解する前に騒いだために、 社長も門前払い的な反応をしてしまったのだろう。 PSPの問題の まとめサイトでは、掲示板でネタにされた UMBディスクが飛ぶと いう現象を認めていない。 テレビ朝日が NHK を批判したのも 情報源がしっかりして裏が取れたからと判断したからだろう。 しかし、本当に裏が取れているかどうかは判断が難しいところだ。

[参考リンク]
http://www.asahi-net.or.jp/~cf6y-oot/
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2005/01/17/6083.html
http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/biz/354840


週刊 IT ニュース&コラム 2005/1/17
iPodが好調のアップル、iPod shuffle を発表

2005年1月12日、アップルコンピュータは、iPod のフラッシュ メモリー版である「iPod Shuffle」を発表し、出荷を開始した。

アップルは、ハードディスク携帯音楽プレイヤー「iPod」の売れ 行きが好調だ。著作権保護が付いたCD(CCCD)が聞けないのに、 あまりに売れたために、逆に大手レコード会社が著作権保護を しないものも発売する方針に変えたほどだ。

iPod Shuffle は、ハードディスクの代わりにフラッシュメモリ を搭載している。 これだけでは、すでに多くのものが出ている USB タイプの携帯 MP3 プレイヤーと同じなので、そんなものを アップルが出すわけがない。 フラッシュメモリにしたことで HDD の iPod より容量が減ってしまったわけだが、それを補う 機能が付いている。パソコンの USB 端子に接続したときに、 iPod Shuffle という名前にあるように、パソコンにあるすべての 曲の中から、シャッフルして(ランダムに)曲を iPod に転送 する機能だ。 これで、最近聞いた曲をもう一度聞くことは無く なるだろう。

iPod には、MP3 形式の他にAAC 形式の曲を、iPod にインストー ルすることができる。アップルによると MP3 より音質がいい らしいが、インターネットでの評判では好みが別れるところ らしい。 ビットレート(データ量)を多くすれば、ほとんど 聞き分けはできないだろう。 これは、一般の USB MP3 プレイヤー と同じだ。 重さ、大きさ、充電方法も特に優れている点は無い。 低音の音質は、ソニーの方がいいというユーザが多いようだ。

シャッフル機能は非常にユニークな機能だが、ハードディスクの iPod と異なり、あの曲が聞きたいと思っても、本体に入って いないことがある。特定の曲を、シャッフル機能でも無くなら ないような設定ができるかもしれないが、容量が少ないことの 限界はどうしよもない。「いい曲を聴かしてくれよ」という ユーザならシャッフル機能は有効だが、「そういえば昔聴いた あの曲が聴きたくなったな」というリクエストをすることが多い なら、ハードディスクの iPod を選ぶべきだ。

[参考リンク]
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0501/14/news062.html