2002年 1月25日、NTTドコモは、総務省が打ち出したブラウザフォン・ サービスのオープン化に応え、iモードのプロバイダ・サービスの 一部を、他社ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)から 発信できるようにする方針を明らかにした。
iモードを利用するときの料金は、パケット契約料+ パケット通信料+ISPサービス契約料+コンテンツ利用料から 構成される。 今回の開放により、ISPサービス契約料、 コンテンツ利用料の回収代行手数料を、他社ISP が受け取る ことができるようになる。
つまり、インターネットで言えば、ADSL接続サービス企業が 徴収する通信料は NTTドコモのままで、ポータルサイト (iメニュー)と、料金回収代行と、メールのホストが、 他社ISPに変わる。 ポータルへのリンクのみを提供している au(エーユー)よりオープンである。
NTTドコモは、サービスの拡大によりトラフィック増加による 通信料の増加を見込んでいる。
Web機能は、現在の iモードでも、インターネットの iモード サイトを見ることができるため、ユーザにとっては、 たいした変化ではないと考えることもできる。 携帯電話の通信スピードが 9600bps固定なので、ISP によって 通信スピードが変わることもないだろう。
しかし、メールのドメインを変えることができるので、 迷惑メール対策として ISPを変える人が多いだろう。 パソコンと携帯電話を連携した新しいサービスも 展開されるだろう。 さらに、インターネットの ISPと 契約している人なら、iモードの ISP契約料が、インターネットの ISP料金とパッケージされることによって、実質無料になることも 十分に考えられる。
ISPにとっては、パソコンだけでなく、携帯電話にも サービスの窓口を広げることができるようになるため、 メディアの価値が上がることになる。 ポータルサイトである iメニューも手に入れることができる。 うまく活用すれば大きなビジネスチャンスとなるだろう。
ISPの開放の実施は、今年の11月上旬を予定している。
2002年 2月より、Sky PerfecTV! (CS) で放送されている番組を インターネット上でオンデマンド配信するサービスのトライアルを 開始する。5月に商用化を目指す。
今回のトライアルに参加できるのは、東京都の一部および大阪府・ 京都府・兵庫県の一部の、フレッツADSL、OCN+アッカ の加入者に 限られる。 東日本では、Real形式、西日本では WMT形式(Windows Media Technologis) で配信される。
商用化の段階では、他の ISP(Internet Service Provider) にも 拡大していく方針なので、フレッツに加入する必要はない。 しかし、課金をしていく関係で、大手のプロバイダに限られる 可能性が高いだろう。 配信形式が東日本と西日本で異なるが、商用化の段階では、 どちらか1つが採用される可能性が高いだろう。
ということで、いよいよブロードバンドの本命といえる ビデオ・オン・デマンドが現実のものとなってきた。 スカパーを見ている人ならわかるが、コンテンツは昔の ものだけでなく最新のものまでかなり充実しているため、 レンタル・ショップを脅かすものになるかもしれない。
今までプロバイダ側からブロードバンドによってビデオ・オン・ デマンドもできますよ、という宣伝であったが、今回は コンテンツ配信側からのアプローチなので、非常に現実的である。
ただ、配信されるコンテンツは、300kbpsから 500kbpsなので、 1GHz以上の CPUと、8Mbps以上の ADSL回線でないと 視聴するのに苦しいだろう。 どれだけの人が、このパワーを 持っているだろうか。 せっかく買った映画なのに、見にくくて 集中できなかったりする人が多かったら、Yahoo!BB のように 初期の混乱が起きる可能性がある。
また、Real形式であれ、WMT形式であれ、コンテンツには、 ダビングできない仕組みが付けることができるようになっている。 機能的には、ダビングできる形式を配信することも可能だが、 ダビング禁止にする可能性が高いだろう。 そうなると逆に魅力が なくなってしまうと感じるものもあるだろう。 映画のように一度だけ 見て満足するものでは不満もないが、スポーツの記録など コレクション的なものなら不満に感じる人も多いだろう。
あまりに規制が厳しいと、アンダーグランドなサイトから コピーガードをはずしたコンテンツが広がって、お客がそちらへ 逃げる可能性もある。 音楽配信においては、マシンを変えると 聞けなくなるなどの制限があったり、手続きが大変だったりして、 あまり成功しているとはいえないと思う。
現在、アナログ・コピーによって多少劣化したものをコピー することが可能なのだが、視聴者がそれより悪い条件に移ることは ないだろう。 料金が安いことや、高品質であることなどの 別の付加価値を付けなければ、多少、レンタルショップへ行く のが面倒であっても、この現状で満足してしまうだろう。
2002年 1月、NTT Docomo は、迷惑メール対策として、ドメイン 指定受信機能サービスを開始した。
不特定多数の携帯電話に対して大量のダイレクトメール(DM)を 送りつける、いわゆる「迷惑メール」がひどくなって久しいが、 NTT Docomo は本格的にその対策に乗り出したようだ。
昨年の7月、メールアドレスを、(電話番号)@docomo.ne.jp から(任意の英数字)@docomo.ne.jp に変更することが できるようになったため、コンピュータを使ってメールアドレスを 自動的にランダムに生成することが難しくなり、迷惑メールの 被害も多少減ったようだ。
しかし、(任意の英数字)@docomo.ne.jp のメールアドレスを 自動的に生成することは可能だ。以前から、コンピュータの分野で パスワードを見つける悪徳プログラムがあり、それを応用すれば、 メールアドレスを見つけることが可能だ。 よく知られている手口は、 ローマ字の日本語の単語や英単語をそのままメールアドレスとして 大量に送り、成功したものを流用するという方法だ。 このため、 パスワードには、オリジナルの言葉やそれを組み合わせたものを 入れるよう勧められる。また、短いパスワードも自動的に生成する ことが容易なので、長いものが勧められる。
今月から開始された、ドメイン指定受信機能は、メールアドレス 変更機能の次の対策としてテレビコマーシャルでも発表されたが、 機能的にはまったく関係がない。 つまり、受信するメールアドレスの ドメイン名(@docomo.ne.jp)を変える機能ではない。
ドメイン指定受信機能は、ユーザが設定したドメインを持った 相手以外からのメールを受信しない機能だ。たとえば、ドメイン nifty.ne.jp を登録した場合、それ以外のプロバイダからのメールを 一切受け付けなくなる。 (ただし、i モードメールは、デフォルトで 受信可能)。携帯電話に迷惑メールを送ってくる業者は、無名の メールアドレスや、マイナーなドメインを持ったメールアドレスから 来るものがほとんどであるため、非常に有効な対策であろう。
実は、この機能は、パソコンのプロバイダでは、すでに実施されている、 メール拒否機能と同じであるため、機能的には新しいものではない。
さらに、1月13日、迷惑メールに対して政府が動いた。 迷惑メールの受信の拒否に法的拘束力を持たせるために、 特定商取引法の改正案を通常国会に提出する方針を政府は固めた。 早ければ、来月から実施される。
具体的には、商業メール送信者は、メールの本文にメールの受信を 希望しないときの連絡先を表示することが義務となる。また、 題名には「!広告!」をつける義務がある。連絡先を表示しないときは、 同じく題名に「!連絡方法無!」とつける義務がある。 これは、題名から受信拒否を自動的に行うためだ。 (i モードでは近日、この機能が使えるようになる)。
連絡先が架空のものであったりなどの理由で、再度送られることが あったときは、業務停止命令や罰金などが科される。
インターネットの問題は、これまでシステムの対策がほとんどで あったが、今回初めて法的な対策がされ、画期的なことだ。
しかし、悪徳業者は、そういった法律を逃れるすべを持っている ものだ。 たとえば、メール送信者が別の名前を名乗って再度送信する という手口だ。 もちろん警察は、同じ容疑者であれば逮捕するだろうが、 匿名性のあるインターネットでは、その容疑者にたどり着くまでが 大変だろう。 一方で、ウィルスの開発者が捕まったという ニュースも聞かれるようになった。 警察の活躍を期待したい。